2007年のモーニング娘。総括

大局的には「吉澤ひとみの卒業」、これに尽きる。これまでの卒業というのはモーニング娘。の中の「有名メンバーが減る」ことだったのに対して、吉澤の卒業は「有名メンバーがいなくなる」ということで、それ以前の卒業シーンとは全く意味合いの異なる、モーニング娘。史上初めての出来事だった。有名メンバーがいなくなったことで「国民的アイドル」モーニング娘。は終焉して、グループの知名度が高い以外はその他と何ら変わらない「普通のアイドル」となったわけだけれども、「普通のアイドル」の活動可能範囲がいかに限られるかはこの約半年間を見れば言わずもがなだろう。イレギュラーな動きといえば留学生メンバーの加入と訪韓訪台くらいで、それらも是非はおいとくとして、影響度は自分ら国内のファンにとってはきわめて軽微。その他にもマイナスな出来事が身内や周囲でいろいろあったが大勢には影響はなく、結局今年のモーニング娘。は、1月2日の吉澤の卒業発表によって想定されたとおりに終始した。

「ファン」というのは通常では存在しえない状態であり、一定以上のエネルギーを常に供給されないとその状態を保つことができない。アイドルファンにとってのエネルギーとは彼女らの魅力ということになるが、我らが得るエネルギーはあくまで魅力の中でも、メディアやイベントを通じて伝わってきた一部分だけ。そういった伝達媒体がなければいくら魅力的な人だったとしても魅了されない。昔のモーニング娘。はかなり恵まれており、メディア出演しまくりのために視聴者が受けるエネルギーも膨大であり、ファン状態に至る閾値が低い人はもちろん、本来ならファンになんかならないような、閾値が高い人をも豊富なエネルギーの供給によってファンにすることが出来た。しかし現在のモーニング娘。はもはやメディア力は皆無に等しい。現メンバーが卒業メンバーと同等に魅力的でも、メディアを通じてその魅力を提示できなければファン状態から非ファン状態に遷移してしまうのは当然のこと。今年はそれでも10周年という国民的アイドル時代の余韻で多少はメディアに出演することが出来たが、来年は更に厳しくなるだろうから、この流れは何もなければ基本的に続くだろう。今後も、闇雲に「国民的アイドル」的なモノを期待しているファンが叶わぬ理想像との乖離の前に次々と脱落してゆき、「普通のアイドル」的なモノを好むファンの一部はより鮮度の高いアイドルに移行してゆく傾向は続くだろう。

自分はというと、やはりその「国民的アイドル」的なモノを期待している一人ではあるけれども、とは言っても動きそのものが想定内で元から過度の期待はしていなかったので、楽しめる範囲内でファン活動やってそれなりに満足な一年だった。イレギュラーな動きがほとんどなかったのは残念だったけれども、通常の活動で普通に楽しんだって感じかな。特に特筆すべきは今年はレギュラーラジオがこの上なく充実したこと。現時点で留学生メンバーを除くと久住以外は全員レギュラーを持っており、ラジオメディアの特質上、大多数の受動的な人への影響度はきわめて小さいけれども、自分を含めて自発的に動くファンはこれによって以前と同等レベルでメンバーの魅力を享受できた。むしろそれぞれの言葉で人となりに触れることができた分、これまで以上に思い入れが強くなったかもしれない。来年も環境は厳しいだろうけどその環境に適応しつつ楽しくファン活動をしていきたい。