朝日新聞 (07/5/3)
2007/5/3 朝日新聞「「モー娘。10年」なぜ?」
つんく♂さんに聞く「モー娘。」結成10年
――国民的アイドルグループと呼ばれるまでにするのに、秘策はあった?
アイドルというのは誰かが消費するもので、僕らが作るものではない。形だけ作ろうとするから、失敗するんです。
――メジャーデビュー曲の「モーニングコーヒー」は懐かしささえするアイドルポップスでしたね。
あのころは時代が少しハード志向。悲しさや激情が求められていたが、過剰気味だった。そこにだれが食べてももたれない和風のデザートを提供したんです。
――加入と卒業を繰り返してきたのは。
新しい子が入ると、ピカソの絵じゃないけど、不均衡から美しさ、哀愁が生まれる。上の子はどんどんしっかりしてきて、自律に任せられる。「アメーバ経営」という言葉があるけれど、そんな感じです。
――新人を入れるとき、必ずしも才能がある子を選ばなかったそうですね。
欠点を乗り越えようとする表情やパフォーマンスに色気が出る。女性スポーツ選手が化粧もしていないのに、プレー中すごく美しく見えるのと同じかな。
――最近、中国出身の2人を新加入させました。
アジア圏を網羅しないと日本の音楽文化を世界に持っていけない。10年にして外に出る時期になった。
――これからは。
宝塚歌劇団は十数人で始まって、大きくなった。だったらうちらもなれるんじゃないか。ビジネススキームはできあがっている。あとはどんなハプニングが起きるか緊張させている状態。なんかの拍子に突然変異を起こしたいんです。
的確すぎ。モーニング娘。の教科書みたいな文章だ。当たり前と言えば当たり前だけど、でもモーニング娘。を論じたものって、表面的か、奇を衒ってあらぬ方向に跳んでいってしまっているかのどちらかで、こう簡潔に本質を突いたコメントや文章って意外とお目にかかれないんだよな。
「ビジネススキームができあがっている」…か。つんく♂氏はスタッフサイド、タレントサイド、ファンサイドの三者を経験している人だ。これまでどおり三者にとって最大幸福が得られる新たな形が構想としては出来上がっているととってよさそう。期待してついていきましょう。