モーニング娘。 コンサートツアー2005秋「バリバリ教室 小春ちゃん いらっしゃい!」 雑感

・何と言っても今回がツアー初参加だった久住の抜群の適応能力。今年春のツアーを見ていた頃の、夏秋のツアーは新メンバーが参加するから新鮮味はあってもステージングの完成度は落ちるだろう、という予想が見事に外れるうれしい誤算。この夏秋ツアーがここまで鮮度を保ちかつ完成度が高いものとなったのは、この久住の立ち上がりの早さに依るところが大きいだろうなぁ。シーンが沈降している今の時代に登場したこの第三世代の先兵は、今後どのように魅力を発揮してゆくのだろうか。

・これまでのモーニング娘。は、どうしても陽の当たるメンバーと、影に隠れがちなメンバーに分かれていたけど、この一年でモーニング娘。創世期メンバーの飯田・矢口、そしてモーニング娘。バブルの体現者であった辻・加護・石川が次々と去り、良くも悪くも突出したメンバーがいなくなった結果、機会が均等に分け与えられてメンバーみんなが主役となった。メンバーが横一線に並び、以前のいびつさがなくなった結果グループの一体感が格段に増して、ファンにとってもとても居心地のよいライブとなった。ただし、それは同時に内向き・排他的な度合いが増したわけでもあるけれども。

・モーニング娘。が等身大の、ごく普通のアイドルグループして再スタートを切ったツアーでもあった。象徴的だったのはライブのMCでフリートークを解禁したこと。フリートークは「実」のレベルがハッキリと現れる。まだ「名」の方は落ちてきているとはいえバブルの余韻が多少残っているけれども、「実」をその「名」に近づけるべく目線を上に向けていたこれまでから、今回身の丈に合った高さに目線を変えてきた。残念なことではあるけれど、異能集団でもなく到底「実」が「名」に追随出来ない以上、いつか来るべき時が遂に来たという、おそらく多くの人にとっては想定内のことだったろう。今回は当にその等身大の「新生モーニング娘。」の初ツアーだったために新鮮さがあったけど、今後普通のアイドルグループとして、どのように外にアピールしてゆくのだろうか。